千里の道をまだまだ走る~ときどきひとやすみ~

分析機器、医療機器の日英翻訳をしています。翻訳者生活10年目に入りました。翻訳や日々のつぶやき(料理・パッチワーク・読書)など、いろいろ書いていきます。

思わず手に取ってしまった本、『スペースキーで見た目を整えるのはやめなさい』

週末、娘を都会の塾へ送っていくのに、久しぶりに食材購入目的以外の外出をしました。
せっかくなので駅前の大型書店に寄ってきたのですが、やっぱり実書店はいいですね。

最近は気になった本はAmazonで注文することがほとんどだったので、実際の店舗へ行ったのは本当に久しぶりのことです。
どんな本が流行っているのかとか、面白そうな本がないかといったチェックはネットでもできるので困ることはありませんが、実際に手に取って中身を見るということができる本屋さんは、やっぱり最高です。
用事があるため1時間ほどしかいられなかったのですが、時間制限がなければ何時間でもいたかったです。

さて、気になる本はたくさんあったのですが、タイトルに目を奪われたのは、この本。

 「そうだそうだ!」と思わず心の中で叫びながら手に取りました。

こんな文書イヤだ!

Wordで文書を作るときに、スペースキーで空白を入れまくる。
改行さえされていればよくて、Enterキーを押す改行とShift Returnキーを押す改行の区別が出来ていない。
左インデントをそろえるためにタブキーを連打する、etc.

見た目さえよければ、文章が分断されても気にしない。
そもそも、1つの文やフレーズの中に無駄なスペースやタブを入れて流れを分断してしまってはいけないはずで、本来は設定で調整するべきなのですけれどね。

そして、無駄にExcelで作った扱いづらい文書。
こんなデータを翻訳しなくてはいけないとなると、翻訳するのはもちろん、チェックをするのも大変なのは、経験したことがある方もいらっしゃるはず。

印刷された状態が良ければOK!ということなのかもしれませんが、DTPの経験がある人なら(いや、なくても?)、こんなデータに苛立ちを感じるのではないでしょうか。

私が普段翻訳するような文書も、見た目は同じでも、人によってつくりが全く違うことがあり、ビックリなデータになっていることもあります。

こんなデータを作ってしまう会社の人たちに、是非読んでもらいたい本だなと思いました。

翻訳者にも必須の内容あり?

実は、この本は、翻訳者の方にもおすすめの本だったりするのかな、と思いました。

翻訳者の中にはWordやExcelを自由自在に使いこなせる方も多くいる一方、ほぼ文字のベタ打ちしかやらない方もいらっしゃるのではないかと密かに思っています。

もちろん、原文データがしっかりしていれば翻訳者が苦労することはないだろうとは思いますし、原文データのつくりがひどかったとしても、それを翻訳者が直す義理(?)はないわけですが、それにしても知っておいた方がよい機能も結構あるのではないかなと思います。

チェックの仕事の際に、PDF原稿をベタ打ちしたWordデータ、PowerPointのプレゼン資料などを見ていると、スペースやタブが連打されていたり、ReturnとShift+Returnの区別がされていなかったり、テキストボックス内の文やフレーズにReturnで改行が入れられてしまっていたり・・ということがかなりよくあるように思います。

また、これまで出会った翻訳者志望の方や翻訳者の方でも、Wordの修正履歴機能やコメント機能をご存じないという方もいらっしゃいました。

この本は、WordやExcelの上級者には物足りない内容だとは思いますが、文書を作るのに必要な最低限の要素はしっかり詰まった本ではないかと思います。

・・・なんて、偉そうなこと言っている私も、この本の中に、使いこなせていない項目もありました、実は。

ざっと目を通しただけで買わずに帰ってきてしまったのですが、買ってきちんと読んでみようかな、と思った1冊でした。


あ、最後に1つ・・。。
この本には、テキストボックスのグループ化についての記載がなかったのが残念でした。(きちんと読めばあるのかも?)
イラスト周りのキャプションをバラバラと配置してしまっていたり、せっかくグループ化してあっても他のパーツとまとめてグループ化されているため、翻訳の際にグループ化を解除すると全部バラバラになってしまって大変なことになったり・・といったことがよくあります。
「翻訳の際に扱いやすいデータのつくり」のために気を遣ってほしい設定なので、今回は関係ないかもしれませんが、少し触れてほしかったような気もしました。

イラストの配置の仕方についても説明がされているようなのは、なかなかよいなと思いました。

これ!取説のデータの場合、人によって設定が違うのは、ちょっと面倒なんです・・・。

 

この本の目次は、こちらに掲載されています。
ぜひ参考にしてみてください。