千里の道をまだまだ走る~ときどきひとやすみ~

分析機器、医療機器の日英翻訳をしています。翻訳者生活10年目に入りました。翻訳や日々のつぶやき(料理・パッチワーク・読書)など、いろいろ書いていきます。

非分離スペースと非分離ハイフン、使っても問題ない?

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非分離スペースと非分離ハイフンについて、他の翻訳者さんはどうしているのだろうかと以前から疑問に思っていたので、今日はこの点について書いてみたいと思います。

非分離スペース(non-break/non-breaking space)と非分離ハイフン(non-break/non-breaking hyphen)という呼び方が一般的なものなのかどうかはわかりませんが、今回はひとまずそう呼んでおくことにしておきます。

非分離スペースとは

前後の単語が2行に分離されないようにするスペースのことで、数字と単位の間のスペースのように、途中で改行されたくないスペースに使用します。
「固定スペース」という呼び方も耳にしたことがあります。

Word上ではCtrl + Shift + Space キーを押すと入力できます。
編集記号が表示される設定になっている場合には、小さな○として表示されます。

こんな感じ。

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フランス語の引用符は英語の引用符(" ")ではなく « » となり、« xxxxx » というように « の直後と » の直前にはスペースが必要になるため、« で改行されないように非分離スペースが入力されたりします。フランス語の翻訳上がりのデータではこのスペースが多く見られました。

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非分離ハイフンとは

こちらも同様にハイフンの前後が2行に分離されないようにするスペースのことです。

Word上ではCtrl + Shift + バックスラッシュキーを押すと入力できます。
編集記号が表示される設定になっている場合には少し長めで色が薄いハイフンで表示されますが、編集記号を非表示にするとハイフンと同様の表示となります。

こんな感じ。

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機械の型番やモデル名のハイフンに、途中で改行されないように使います。

どちらもDTPソフトでの編集の際には当たり前のように使っていたのですが、Word上ではあまり使われないものなのでしょうか?

翻訳者の方々には「使うことはありますか?」
翻訳会社の方々には「使うと問題(迷惑)になることはありますか?」

・・というのが今回の質問になります。

使うかどうか迷う理由は?

Tradosなどの翻訳支援ツール用に使うだろうと思われる表組形式の翻訳だったり、最終的にはDTPソフトに流して使うだろうと思われるような場合には使っていません。(改行位置についてはDTPソフト上で考えればいいことなので)

私がどんな時に使っているかというと、Wordでレイアウトが組まれたデータの上書き翻訳の時(=Wordが最終データになる時)に、改行したくないのにそのままだと途中で改行されてしまうスペースやハイフンのみに使っています。

なぜ使うのを迷うのか?

私は社内翻訳をしているのですが、翻訳済みのWordデータを担当者に納品した後、「この変な〇、変なハイフンは何ですか?」ときかれることがたびたびあるからです。

非分離のスペース・ハイフンについて説明すると「了解、このままにしておくね」と言ってもらえるのですが、きかれる回数が思っていた以上にも多いので、いっそ使わない方がいいのかな、と思ったりもします。

いや、でも、強制的に改行するのは絶対したくない・・!と思ってしまうんですよね。

使いたい理由は?

Wordでレイアウトされたものを上書き翻訳する場合、それがそのまま最終データになります。
数字と単位が改行されてしまったり、モデル名がハイフンで改行されてしまったりするのはどうしても避けたい。

よく、この途中の改行をふせぐためにその単語の直前に強制的に改行を入れているのをみかけるのですが、個人的にはこれは本当にイヤです。

DTPをやったことがある人なら同じ気持ちになるのではないかと思うのですが、

1つの文章の途中で改行は入れるのは避けたいです。

100歩譲って改行をいれるとしても、Enterキーを押して改行するのではなく、Shiftキーを押して改行してほしい。

Wordの上書き翻訳の翻訳データやパワーポイントの翻訳チェックをしていると、見た目をそろえるために、文の途中で無駄に改行を入れたり、タブやスペースを連打して見た目をそろえているデータがたくさんあることに驚きます。

英語から多言語へと展開するベースデータになる場合もあるかもしれないし、不要なスペースや改行のない綺麗なデータにしておくことって大事だと思うのですよね・・・(そんなことは翻訳者の仕事じゃないと言われるかもしれないけれど。) 

 


(以下、2021.05.20追記)

この記事へいただいたコメントの他、Twitterなどでもいくつかコメントをいただきましたので以下に紹介させていただきます。

  • 非分離スペースと非分離ハイフンの存在を知らなかった。
  • 海外から来る原稿には時々使われているのを見るが、点だらけで気持ち悪い・・。
  • 「これ何?」と聞かれるのも面倒なので自分では使わないが、改行されてほしくない時には使いたくなりそう。
  • 医薬系の翻訳会社(複数)から、数字と単位の間の半角スペースや治験薬コード名のハイフンには「改行しないスペース/ハイフン」を使うように指示されているため、使うのが普通かと思っていた。
  • Tradosのファイルの中にある場合は「消してください」と言われてもやもやしている。

 

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