千里の道をまだまだ走る~ときどきひとやすみ~

分析機器、医療機器の日英翻訳をしています。翻訳者生活10年目に入りました。翻訳や日々のつぶやき(料理・パッチワーク・読書)など、いろいろ書いていきます。

【読了】 Cold Equations

読み終えてから大分時間がたってしまったので、忘れないうちにメモを残します。

今度はSFに挑戦。
アシモフのロボット作品を読もうか、日本語では読んだことのない作品を読もうか迷っているときにAmazonで見つけた本です。

SFの名作と言われている(らしい)、代表作の Cold Equation(邦題は『冷たい方程式』)を含む作品がいくつか収録されている短編集です。

この中から、The Survivors(邦題は『宇宙の漂流者』または「宇宙のサバイバル戦争」)と Cold Equation の2作品を読みました。

The Survivors

The Survivors はこの本の1作目に掲載されていた作品で、 Cold Equation のついで・・くらいな感じで読み始めたのですが、かなり面白かったです。

ざっくりあらすじを説明すると・・・
強大な Gern 帝国から宣戦布告された地球から、8千人の移民を乗せた宇宙船が資源が豊富な惑星Athenaへと向かいます。でも途中で帝国に捕まってしまい、利用価値のある技術者は奴隷として Athena へ送られ、残りの半数は Ragnarok という、不毛な惑星に置き去りにされてしまいます。
そんな苛酷な環境に放置すればみんなすぐに死んでしまうだろと踏んでのことだったのですが、人間そんなに弱いものではなく・・。
主人公かと思われる人がいきなりバタバタと死んでいくのですが、数世代(300年近く)に渡ってこの苛酷な環境の中を生き延び、Gern 帝国へ闘いを挑んでいく人々の執念は、なかなかの圧巻です。

色々ツッコミどころはあるのですが、1950年代に書かれたとは思えない、古さを感じさせられない話でした。

Cold Equations

こちらの作品もなかなか面白かったです。

舞台は小型宇宙船。
ある惑星で調査をしているグループの1つに疫病が発生するが、血清が使えなくなってしまう。そこへ血清を届けることになるのですが、その惑星へ向かう小型宇宙船には、最低限の燃料・酸素しか積まれていない。すべてがコンピューターで制御・管理されているので、余計な積み荷は許されない。万一密航者が発見された場合には、エアロックから船外へ放り出すという規則があります。
その宇宙船の中に、密航者がいたのです。しかも、18歳の女の子。目的地の惑星にいる兄に会いたいがための密航でした。

何も知らずに乗り込んだ少女に同情しつつも、規則に従って船外に放り出さなければ目的地には着けないし、血清を待つ病人もみんな死んでしまう。
それを女の子に淡々と説明するパイロットが少しでもその時を遅らせようと手を尽くす様子や葛藤、自分が船外に放り出される以外道がないことを知って驚く女の子の様子や感情が揺れ動く様子がうまく描かれています。
最後には女の子は状況を受け入れ、お兄さんと無線で話した後にエアロックへ。

この作品こそいろいろツッコミどころ満載ですが、それは無視してしまえば、緊迫感や登場人物の心理描写など、なかなかうまく描かれていて読んでいて面白かったです。

最後の一文が結構強烈でした。

次読む本

おとといから The Glass Woman を読み始めました。
多分 Twitter(X) で流れてきた投稿を見て面白そうだと思って購入した本だと思うのですが、サスペンス・・かな?AIとかが絡んでいたような記憶があるのですが、どうでしたっけね?まぁ、読めばわかるでしょう。

英語がとても易しく、とても読みやすいです。
地の文はひたすら現在形。

サスペンスだと思っているからなのか、妙な緊張感があり、ドキドキしながら読み進めています。

目が覚めたら病院で、記憶が一切なく、自分が誰かもわからない。
どうやら脳の手術のせいで記憶が抜けおちてしまったらしいけれど、なんだかおかしい。
そばにいる「夫」だという人にも警戒中。

各章の終わりに、自分のことでわかったことが自己紹介風に書かれているのですが、章を追うごとに少しずつ内容が増えていくのもちょっと面白い効果が出てる気がします。

先が楽しみです。