*旧ブログ(アメブロ)からの転載・修正記事です。
今更なことかもしれませんが、9月に『シカゴマニュアル』 (The Chicago Manual of Style)の第17版が発売されるそうですね。
『シカゴマニュアル』といえば、どぎついオレンジのイメージがあります。(16版の表紙は水色のようですが)
新卒で採用された翻訳会社の新人研修で、いくつかの章を新人15人で手分けして翻訳し、互いに訳した内容を発表し合うというものがありました。
発表後、翻訳の現場では実際のところはどうなのかなど、先輩社員が補足説明をしてくれたりしました。
英文は、とにかく内容を正しく伝えることが重要なのだとしか思っていなかった当時、一定のルールに従って書くことも重要なのだと、初めて知りました。今思えば、なかなか貴重な経験ができたと思います。
残念なことながら、自分がどの章のどんな項目を担当したのかは、全く記憶に残っていないのですが、濃いオレンジの分厚い冊子の記憶がかなり強烈に残っています。(当時の版は14版で、記憶ちがいでなければ、表紙はかなり濃いオレンジ色でした。)
スタイルガイド的なものはいくつかあるのですが、初めて触れたスタイルガイドであり、視覚的にも強烈な記憶を残したこの『シカゴマニュアル』は、私の中ではスタイルのバイブル的な存在です。
・・とはいうものの、『シカゴマニュアル』は現時点では持っていません。 次の版が出たら購入しようと思っていました。
16版から何が変わったのかを紹介するページを見て、1番気になったのは、「単数のthey」(Singular They)について。
毎日新聞の記事によれば、AP通信がLBGTの人を指す時にtheyを三人称単数で使うことを認める新ルールを加えたとのことですが、『シカゴマニュアル』の17版予告によると、単数のTheyはyou同様複数形の動詞をとると書いてある・・。 スタイルガイドによってもまちまちになるのでしょうか・・・
個人的にはtheyを単数扱いに使うのはなんだか違和感があるし、わからない文脈で突然出てくると、LBGTの人のことなのか、本当にtheyなのか(まちがってisにしたか?!)と思ってしまういそうだし、複数扱いだと、従来の意味のtheyなのか、LBGTの人を指すtheyなのか判断がつかないことも出てくるのではないかと考えてしまいます。
theyがこのように慣習的に使われるようになるまでにもかなり長い時間がかかっていることを考えると、スタイルガイドに公式に記載されたというのは、すごく大きな出来事なのでしょうね。
いろいろな意味で気になっている『シカゴマニュアル』、発売が楽しみです。