千里の道をまだまだ走る~ときどきひとやすみ~

分析機器、医療機器の日英翻訳をしています。翻訳者生活10年目に入りました。翻訳や日々のつぶやき(料理・パッチワーク・読書)など、いろいろ書いていきます。

「立ち下げる」、他、業界用語?

*旧ブログ(アメブロ)からの転載・修正記事です。

先日、翻訳作業中にこんな和文を見つけました。

装置を立ち下げてください。

「立ち下げる」・・?

パソコンを「立ち上げる」、装置を「立ち上げる」・・といった場合の「立ち上げる」は、すっかり普及して使われるようになったように思います。
でも、その逆の意味だと思われる「立ち下げる」については、今まで見たことがなく、目にしたのは今回が初めてです。(実はよく使われていたりするのでしょうか?)

意味としては「電源を切る」で問題なさそうでしたが、たまたまその装置には、スリープ状態にする電源ボタンと、主電源があり、それのどちらか確信が持てなかったので、ひとまず「主電源を切る」と解釈して英訳をし、コメントを付けて戻しました。


業界内では普通に使われている言葉でも、知らない人は知らない・・という言葉は結構ありますよね。
社内向けの技術文書の中で当然のように使われている用語ですが、初めて目にするものも多々あります。
普段、新しい言葉に出会う機会はそれほどたくさんあるわけではないので、新しい言葉が登場するととても楽しいです。

すぐ思いつくもので、さしつかえのなさそうなものをいくつか挙げてみました。

リスケ

説明するまでもないかもしれませんが、「スケジュールの組直し、再調整」のことですね。
今ではだいぶ耳にするようになりましたが、私が社会人になって2年目の頃は、使ったことも聞いたこともありませんでした。
IT業界では常識だと言われて、へえ・・と思った記憶があります。

以下3つは、今の職場で働くようになってから知った言葉です。

コンタミ

コンタミネーション(contamination)の略

これも違和感なく(?!)すぐわかりましたが、これまでコンタミネーションなんて言葉を使う機会が全くなかったため、ちょっと新鮮でした。

ヒヤリハット

重大な災害や事故には至らないものの、直結してもおかしくない一歩手前の事例の発見をいう。文字通り、「突発的な事象やミスにヒヤリとしたり、ハッとしたりするもの」である。 (Wikipediaより)

私のいる職場では、安全に関するミーティングが定期的に開かれます。関連会社や他部署、支社の事故の事例をもとに危険回避について話し合うものなのですが、そこで初めて耳にした言葉でした。

保育や医療の現場でも当たり前のように使う言葉だそうです。

いろいろ調べているうちに、医療業界では「幼稚な言葉」だとして使うのをやめようと主張されている方がいらっしゃることがわかりました。
個人的には、「単純だけどわかりやすくてなかなかおもしろい言葉」と思ってしまったのですが、どうなのでしょう?

今のところ英語で訳す必要はなさそうですが、訳すとしたらnear missとかになってしまうのでしょうか。
医療現場であれば、medical incidentとか? 「(事故には至らないけど)ヒヤリとした、ハッとした」といった感じがどの訳にも含まれないので、もっといい言葉がないものかなと思いつつ、ちょっと思いつきません。

サチる

最初はタイプミスか何かではないかと思ってしまいました。 ある一定のレベルに達すると、それ以上数値があがらず一定の値のままになる・・といったような、いわゆる飽和状態になることをいうそうです。
be saturatedを使って訳すように指示を受けています。

和文原稿を書いた人によると、「『さちる』という以外、他の言葉では言い表せない」そうです。