4月頃に購入したままなかなか読めずにいたのですが、ようやく読み終えました。
冠詞の本はこれまで何冊か読んでいますが、この本はその中でも比較的読みやすい、入門書的な1冊だと思います。
冠詞は永遠の課題
どれだけ英語を勉強しても、冠詞を悩まずに済むようにはなれません。
単数の場合、aをつけるべきかtheをつけるべきか、それとも無冠詞にするべきなのか?複数の場合でも無冠詞がいいのか、それともtheをつけるべきか・・・。
私が中学校で英語を学んだ時には、aとtheの違いなんて特に意識したことはなく(教えてもらった記憶もほとんどない)、「1つの時、初出はa。初出じゃない場合にはとりあえずtheを付けておけ!」くらいにしか考えていませんでした。
自分で翻訳をするようになって初めて冠詞を意識するようになったといっても過言ではありません。
マーク・ピーターセンの『日本人の英語』の中で繰り返し書かれていることがあります。
(aやtheは)名詞につくアクセサリーのようなものではない
「名詞に冠詞(a/the)をつける」のではなくて、「冠詞に名詞をつける」のであって、冠詞によって意味的カテゴリーを決め、その後に適切な名詞を探す・・・といったことが説明されていました。
「とりあえずtheをつけておけ!」程度でいた私には、これはかなり衝撃的なものでした。
それ以降急激に冠詞に対する意識が変わり、猪浦道夫さんの『英語冠詞大講座』を読んだことで冠詞に対する理解が深まった・・・かのように見えました。
話がそれますが、この『英語冠詞大講座』は冠詞の参考書の中で1番だと思います。
とてもよく整理されていてとても分かりやすいのでおススメです。
『冠詞のトリセツ』のざっくりとした感想
ざっと箇条書きで、読んだ印象、感想、その他について書いてみたいと思います。
- いろんな冠詞文法書の総まとめ集
巻末に参考資料一覧が載っていますが、著者はいろいろな冠詞の本を読んでいらっしゃるので、必要な情報をうまく1冊にまとめられている感じでした。参考資料からの引用や英語の豆知識的な情報も所々にちりばめられています。 - 細かい目次にびっくり
冠詞の使い方があまりに細かく細分化されているので、目次だけ見るとビックリします。(読むとそうでもない)
中でも、「無冠詞は音をあらわす表す」という項目の説明がちょっと新鮮でした。 - 可算名詞、不可算名詞の説明が斬新
可算名詞、不可算名詞を「可像名詞」(=イメージしやすい・絵に描ける名詞」と「不可像名詞」(=イメージしにくい・絵に描けない名詞)」と定義するところから始まります。「絵に描ける」「絵に描けない」という定義は面白いなとは思いましたが、これまで「可算名詞」、「不可算名詞」に慣れている人には最初は違和感あるかもしれません。(だからこそ括弧付きで記載されているのだと思います。これは編集者の意向?)個人的には、括弧書きはやめて、「可像名詞」と「不可像名詞」にそろえた方がよかったのではないかと思います。括弧付きだったり、「不可算名詞」、「可算名詞」に戻ったりとまちまちなのがかえって目に付いてしまいました。(本題には関係ない感想ですね・・) - 各ページの先頭に例題あり、各章の終わりに章のまとめあり
ここ数年で冠詞が分かったような気になっていたのですが、実際問題をやってみると迷ったものも含め、間違いもあったりして、結構ショックでした。初心に帰って勉強し直そうという気になりました。
また、何点か、頭から抜け落ちていた文法事項があったので、復習になりました。 - 例文が面白い
山下達郎の「クリスマスイブ」や子門真人の「およげたいやききくん」の歌詞、ピンクレディに送ったレコード大賞司会の言葉や、コナンも登場し、さらには歴史ネタも登場します。
この本の前書きは、「『隋書』倭国伝によると」から始まります。著者は歴史にも精通しているようです。 - 疑問
『冠詞のトリセツ』の英語表記がInstructions for articlesになっているのですが、なぜmanualは複数形なのでしょうね?単数で良いのではないかと思ったりするけど、そう思ってしまうこと自体わかってないってことでしょうか(汗)
長くなってしまいましたので、この辺で終わりにしておきたいと思います。