千里の道をまだまだ走る~ときどきひとやすみ~

分析機器、医療機器の日英翻訳をしています。翻訳者生活10年目に入りました。翻訳や日々のつぶやき(料理・パッチワーク・読書)など、いろいろ書いていきます。

『英語クリーシェ辞典』

今日は、最近購入してとても面白いと思った辞典を紹介させていただきたいと思います。

それは『英語クリーシェ辞典』という辞典です。

 


英語クリーシェ辞典―もんきりがた表現集

 

年明けから参加しているみんチャレの洋書グループで、「イディオムや決まり文句を知らないと、小説読むのって大変だよね…」といった会話があったのですが、その時にメンバーの1人が紹介してくれた辞典です。

Dictionary of Clichés の翻訳版で、監訳は柴田元幸さん。

表紙の絵もかわいくて、見た目だけでもちょっと魅力的な1冊です。

クリーシェって何?

ひとことでいえば「決まり文句」という感じになるかと思いますが、監訳者まえがきにはこのように書かれています。

この辞書の著者ベティ・カークパトリックも、クリーシェを定義するのは困難であるということは今や言語学上のクリーシェになっているが、と前置きした上で、こう書いている。

クリーシェとは、軽蔑的な用語であり、当初の新鮮さを、さらにはその有効性を失った、にもかかわらず広く使われ、時にはあいされてもいる表現を指す

また、本の帯にはこのように書かれています。

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辞典であって辞書じゃない

この辞書は、とても楽しく読める辞書になっています。

またもや監訳者まえがきからの引用になってしまうのですが、このように書かれていることからも読み物的辞書であることがわかります。

クリーシェ辞典はほかにもいくつか出ているが、本書はこうした軽妙なユーモアと、すべて自作の、大変わかりやすい実用的な文例とが大きなウリであり、この二点がこの辞典を「読める辞典」にしている。我々訳者も、訳文を作成する上で、この「読める辞書」だという点に留意したつもりである。

辞書といったらこんな見出し(←名前あってます?)がついていると思うのですが、

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この『英語クリーシェ辞典』にはついていません。真っ白です。

このことも辞書であって辞書でない、読み物だと思える理由の1つかもしれません。

とはいえ・・中身はやはり辞書。

著者のカークパトリックさんはクリーシェを、比喩、外来語、ことわざ、など12のタイプに分類しています。この分類については詳しくは監訳者まえがきで説明されています。

各見出し語の初めには、この分類が示されています。

また、各クリーシェの項目については、クリーシェの持つ意味だけではなく、そのクリーシェがが誕生した由来やどんなふうに使えるかなどが詳しく説明されています。

また、本来の意味が分かるように基本的な意味がわかる例文と、比喩的、慣用的な使い方の例文が対訳で載っています。

こういった内容を読めば、どんな場で(日常的に、ビジネスの場など)、どういった感じでこのクリーシェが使われるのかがとてもよくわかります。

・・とまあ、とても勉強になるのですが、ふふ、面白いのは著者の各クリーシェに対するコメント。
「そう言われても苛立つばかりということも多い」などというような、ニヤリとしてしまう記載もところどころに出てきます。

そうそう、まだ最初の方しか読めていないのですが、初めに全体をパラパラと眺めたときに、今原書で読んでいるGeorge Orwellの 1984 のフレーズが目にとまり、とても嬉しくなりました。

Big Brother is watching you.

知らない人はこれだけ見ると「なんのことだろう?」と思うかもしれませんが、Big Brother のニュアンスが1984の出版後に変わったことについての説明があったりなど、なかなか面白いです。

知らないフレーズはもちろん、知っているフレーズが出てくるとさらに面白いかもしれませんね。

 

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