千里の道をまだまだ走る~ときどきひとやすみ~

分析機器、医療機器の日英翻訳をしています。翻訳者生活10年目に入りました。翻訳や日々のつぶやき(料理・パッチワーク・読書)など、いろいろ書いていきます。

第32回JTF翻訳祭2023⑦ プログラム視聴メモ:ChatGPT関連のプログラム3つ

今年はChatGPT関連のプログラムが複数あり、ChatGPTへの関心の高さがうかがわれました。

以下3つを視聴しました。

  1. 改めて知りたい自然言語処理技術『AIチャットボットは翻訳のプロから仕事を奪うのか』
  2. 『ChatGPTと翻訳』
  3. ChatGPT翻訳術『翻訳実践と外国語学習のプロンプト』

生成AIの歴史や仕組み、翻訳現場での実践的な使い方など、同じChatGPTの話でもそれぞれ違った視点からの説明だったので、知識の整理ができて、理解も深まったような気がします。
また、今後のあり方的なものに対し、登壇者それぞれの立場からの意見がきけたものよかったです。

今回この3つを視聴するにあたり、私は3→2→1の順番で視聴してしまったのですが、プログラム通り1→2→3の順番で視聴すべきでした・・・。
やはり、プログラムはきちんと考えて組まれていますね。
概論から始めて範囲を絞ったプログラムを聞いた方が、理解しやすかったと思います、絶対に。

1.のプログラムは大規模言語モデルの概要、歴史、仕組みなど、概論的な内容で、一般の人にもとても分かりやすい説明になっていました。
また、「今後翻訳の仕事は奪われてしまうのか」という問いに対する回答もなかなか興味深く、大規模言語モデルはプロから仕事を奪うものではなく、うまく使うことで翻訳の様々なタスクが効率化できるものであること、大規模言語モデルのない時代にはもはや戻れないのだから、共存することを考えるべき、とおっしゃっていたのが印象的でした。

2.については大規模言語モデル(LLM)とニューラル翻訳(NMT)との違いなどが語られましたが、専門的な内容だったため、私には少し難しかったです。でも、全てを理解できなくとも聞いたことがあるのとないのとでは全然違うので、自分なりには理解したつもりです。

3.については、少し前に購入した『ChatGPT翻訳術』のプロンプトのお話でした。
研究者など、これまで英文を書くのに苦労されていた方にとってはものすごく訳に立つものだと思います。
私は、ChatGPTを「質問してくれば答えてくれる良き相談」としての使い方しかしていなくて、必要に応じてどんどん質問を加えてほしい情報までたどり着くという感じで使っていたのですが、メタ言語を使ったプロンプトで詳細な指示を出し、欲しい翻訳を得られるこの方法は、とても効率のいい方法だと思いました。
一般の人も研究者も含め、いろいろ人がいろいろな使い方をしているので、これからもっと効率のいい使い方が出てくるのかもしれませんね。

翻訳、という観点でいうなら、私自身はChatGPTに翻訳させてそれを編集する、という使い方はしませんけれども、そういう使い方ができるということを知識として知っておくべきだと思うし、実際これからそういう使い方をして翻訳を上げてくる人が出てくるはずなので、そういう人がどうやって翻訳のサポートツールとしてChatGPTを使っていくのかは知っておかないといけないと思いました。
以前ブログにも書きましたが、実際、身近なところでももうそういう使い方をししている方がいますしね。

また、こういうプロンプトを構築するプロンプトエンジニア的な役割の人が必要になってくるのではないかという話もあり、今後新たに生まれる職業の可能性などなど、いろいろと興味深い話もありました。

引き続き、こういったものには適度にかかわりながら、最新の動向を把握していきたいと思います。