千里の道をまだまだ走る~ときどきひとやすみ~

分析機器、医療機器の日英翻訳をしています。翻訳者生活10年目に入りました。翻訳や日々のつぶやき(料理・パッチワーク・読書)など、いろいろ書いていきます。

すっきりしないチェック

*旧ブログ(アメブロ)からの転載・修正記事です。

チェックしていて消耗する翻訳は多々ありますが、昨日までチェックをしていた翻訳が、まさにそうでした。

日英翻訳チェックの仕事で、英語は綺麗で文法的にも問題ないし、読みやすい。でも、原稿を見ながらチェックすると、チェックに果てしなく時間がかかるのです。

当然のことながら、逐語訳になっていないからチェックしづらくて・・・というわけではありません。
使う言葉や言い回し等は人によって様々だと思いますので、どんなものであってもおかしくなければよいと思いますし、全体として原文の意図する内容をきちんと伝えているのであれば、余計な指摘は入れる必要はないと思っています。

でも、なんだかチェックに苦労したのです。

このチェックをしているときに、まず最初に思いついたのは、 『できる翻訳者になるためにプロフェッショナル4人が本気で教える翻訳のレッスン 』やJTFジャーナルのコラムのの中で、高橋さきのさんが翻訳について書いていらっしゃること。

原文を読んだときに見える「絵」と訳文を読んだときに見える「絵」をできるだけ一致させる

そう、まさにこれ。
これがないのです。

原稿に書かれていることから思い描く絵と、訳文を読んで思い描く絵に、かなり差があるのです。
だから、訳文に書かれた内容が正しい内容なのか、間違っているのか、何とも判断しづらい・・というか、とにかく時間がかかるのです。

私の理解力がないからなのか、それとも翻訳者の日本語の読解力の問題なのか・・・?とにかくものすごくチェックのしづらいものでした。

こういう翻訳は、英語だけ読んだらそれらしい訳になっているし、文法的にも用語的にも問題ないので修正は少ないのですが、解釈という根本的なところが怪しいならどこまで手をいれるべきなのか、考えてしまいます。
翻訳者の資質の問題というか、checkの範囲を超えているというか。

結局、「〇〇という内容の訳になっているのですが、XXという意味ではないでしょうか?」というコメントをあちこちにつけて提出したのですが、なんともすっきりしないチェックとなりました。