先日副業について質問をいただいたのですが、コメントへの返信にしては長くなってしまいそうなので記事として残すことにしました。
質問はこちらです。
副業(翻訳チェック)の一番のメリットは経済的なことと翻訳のモチベーションを上げるのと、どちらのほうが自分にとって大きかったでしょうか。
どうお答えしようか、かなり考えてしまいました。
両方?
お金がもらえてそれによって翻訳に必要なものが買えているのだから、そういうことになるのでしょうね・・?
私にとっての副業(翻訳チェック)のメリットは、この3つです。
- 「チェックを楽しめる」⇒副業のきっかけ
- 「翻訳のための情報収集ができる」⇒今はこれ?
- 「お金が入る」⇒今はこれ?
この5年間で自分の中で副業の位置づけが少し変わったり矛盾や問題を抱えるようにもなったりと、副業についてはいろいろ考えることが多いので、今日はちょっとだけ(いや、かなり?)、「私にとっての副業」について書いてみようと思います。
副業を始めた理由
ただ単に「チェックの仕事がやりたかった」からです。
お金が欲しいからでも、翻訳の勉強になると思ったからでもなく、純粋にチェックの仕事をしたかっただけです。
前職では多言語コーディネーター(兼ライター兼チェッカー)をしていたのですが、縁あって翻訳者として働くことになり(経緯は過去記事参照)、「翻訳を依頼する側」とは逆の「翻訳を依頼される側」として働くことになりました。
立場が変わったことで見方が変わったものがたくさんあったのがとても面白く、翻訳することもとても楽しかったので翻訳には夢中で取り組みました。でも前職の仕事は自分の天職だと思っていたので、その道も完全にあきらめてはいませんでした、初めの頃は。
そんなとき、これまたちょっとした縁でお誘いを受け、日英・英日翻訳チェッカーのトライアルを受けることになりました。
トライアルを受けたのは「チェックの仕事をすれば、前職で培ったチェックの勘を衰えさせずにすむ」と思ったからです。前職でも私はチェックの仕事が大好きでした。
初めは、「チェックを楽しむ」、目的はこれだけでした。
余談ですが、実際、翻訳チェックをやってみて、多言語のチェックと日英・英日翻訳のチェックは全く違うものであることを実感することになります(当たり前💦)。
(このあたりのことについては別途書いてみたいと思いますが、今回はちょっと省略します。)
そういうわけで翻訳チェックについては、最初は慣れるまで実はいろいろと苦労があるのですが、慣れた後は「チェックの仕事って、もしかしたらやりようによっては翻訳のためにもなるのでは?」と考えるようになりました。(これについても詳しくはまた改めて。)
そんな頃に矢能千秋さんのセミナーを受けて、いずれはフリーランスの翻訳者になりたいと考えるようになり、この時点で、「ただ単にチェックがしたいだけ」という気持ちから、「自分の翻訳にプラスになるようにチェックの仕事を使う」ことと「その環境づくりのための資金を稼ぐ」ことに副業の目的が変わりました。
翻訳のために使ったお金は、絶対に元を取る
ちょっと話がそれるかもしれませんが、お金について1つ。
翻訳について学べば学ぶほど、欲しいものが増えていきます。
翻訳の通信教材、セミナーや講座への参加、必要な辞書や書籍の購入、トリプルディスプレイといった翻訳環境の整備など、翻訳への投資に必要なお金は、キリがありません。
一気にそろえることは無理なので優先順位をつけていくわけですが、最初に決めたマイルールは、これ。
かけたお金は絶対に回収すること。
本業で得たお金は家族を中心に使うものなので余分にかけるお金がない、というのもありましたが、投資ばかりして結果が出せず、その出資額だけが増えていくようでは無駄でしかないと思ったからです。
だから、本を買うにも講座を受講するにも、何のためにそれを選ぶのか、それを選んだことで後で得られるものがあるかどうかをよく考えて選ぶようにしました。
また、かけたお金は、チェックか翻訳で必ず後から相当額を回収することを目標としました。
そう決めておくと、お金をかけたものは絶対に無駄にはしないし、途中で挫折もしなくなるので、自分にはよかったかもしれません。
限られた時間の中での微々たるものではありますが、それでもこのおかげでこれまで必要なものを揃えてくることができました。
そういう意味では経済的なメリットはかなり大きかったと思います。
翻訳に役立つ情報収集とは
またまたちょっと余談になるかもしれませんが、もう1つの目的の「自分の翻訳にプラスになるようにチェックの仕事を使う」について。
これは「チェックの仕事は翻訳の勉強になるからやる」ということではありません。
チェックの仕事をしたからといって翻訳がうまくなるわけではないと思うし(やり方にもよるとは思いますが)、翻訳を上達させたいなら、翻訳をやるのが一番だと思います。
でも、私は翻訳者を目指している人がチェッカーを経験することについては賛成です(もちろん条件付きで)。これについても、書きたいことがあるのでいつか別記事で。
矛盾の中での葛藤
前にも書いたとおり、帰宅後家事や育児も待っているので、勉強や副業に充てられる時間は限られています。
チェックの仕事は今でも本当に面白いと思っているのですが、思ったよりも作業に時間がかかって寝不足になったり、依頼が続いて翻訳の勉強の時間が無くなったりと、「翻訳のためのお金」を得るための副業のはずなのに、一番大事なはずの「翻訳のためにかける時間」が取れなくなってしまう…という矛盾も抱えることになりました。
(最初は本業で十分満足できていたのですが、目指す分野が変わってからは余計に)
それならチェックではなく翻訳をすればよいのではないか?と思われるかもしれませんが、本当にその通りだと思います。
ただ、わかっていても、使える時間は限られているのです。
「チェックの仕事は翻訳の仕事と比べて時間が読みやすい」
もちろん例外もありますが、チェックの仕事の最大のメリットかなと思っています。
(もちろん、翻訳よりも楽‥と言う意味ではありません。)
でも、そろそろ自分が何を優先するべきなのかをそろそろ考えなくてはいけないのかも。
チェックは面白いけど、本当にやりたいのはチェックなのか、翻訳なのか?
考えたら答えはすぐに出ます。
やりたいのが翻訳なら、それができる道を選ぶべき。
目指す分野があるならその分野で仕事をしなくちゃ。
現在、少し医療機器、大半が分析分野の機械やアプリの翻訳のお仕事をしているのですが、本当にやりたい翻訳は医療分野(特に医療機器)の翻訳です。
ありがたいことに過去に翻訳のトライアルに合格し、お仕事をいただいたりしたのですが、1日数時間程度でコンスタントに続けていかれるほど甘くはありませんでした。
もう少し時間的に余裕のある副業としてやるなら可能なのかもしれませんが、今の状態で本格的に広げていくのは無理があると思いました。
家族の都合に合わせた生活が今は最優先なので、今ような生活になってしまっていますが、やりたい翻訳があるなら副業としてではなくて、本業の時間にやるべきです。
このままでは、いつまでたってもやりたい翻訳ができないというのは数年前からずっとわかっていましたが、これまでは得るものもまだたくさんあるし、他にもいろいろな事情があり、結局何年もずるずるこの状態を続けてきてしまいました。
そんなわけで今年の目標として「仕事を変えたい」と書いたのは、この環境をなんとか変えなくては、という思いがあるからなのでした。
なんだか結局最初の質問への答えになっていないような気もするのですが、いろいろ書きたいことがありすぎて結局まとまらなくなってしまいました。
書いたけどカットした内容もありますし、「別記事にて」とした内容もいくつかあります。
そういうものもちょこちょこ小出しに書いていけたらよいのですが、なかなか自分の考えを思うように書けないでいます。
文章力を磨くために始めたブログですが、なかなか難しいですね。
今回もまた長文になってしまいましたが、最後までお付き合いいただきありがとうございました。