千里の道をまだまだ走る~ときどきひとやすみ~

分析機器、医療機器の日英翻訳をしています。翻訳者生活10年目に入りました。翻訳や日々のつぶやき(料理・パッチワーク・読書)など、いろいろ書いていきます。

ChatGPTのウェビナーの申し込みをしました。

ChatGPTの無料セミナーがあると聞き、申し込んでみることにしました。

講師は、山田優教授。

note.asca-co.com


この講師と主催者の組み合わせなら信頼できる内容だと思うので、有益なお話がきけるのではないかとかなり期待しています。

医療分野の翻訳にまで本当にChatGPTが使えるものなのか、他にもいろいろと気になることがあります。
この日は何とか在宅勤務にし、昼休みをずらして視聴するつもりです。


先日購入した、山田教授の『ChatGPT翻訳術 新AI時代の超英語スキルブック』を読み終えました。

基本からかなり丁寧に解説してくれている上に、ChatGPTのプロンプトのテンプレートまで特典として提供されています。なかなか面白い一冊でした。

ChatGPTの英語はネイティブの英語なので、中途半端な英語力で一生懸命英文を考えるよりも、自然な英語になるのは確か。
書きたいことがあって、ある程度の英語力もあるけれど自分で1から英語を書き起こすほどの力や経験がない人には、相当有益なツールになると思いました。

先日の記事に少し書きましたが、本業の方で、ChatGPTを使って書いた英文のチェックを最近依頼されました。この会社にきてから9年の間で、社員が書いた英文のチェックを何度も依頼されてきましたが、その中では一番レベルが高いものでした。
渡された英文では論理展開や用語の誤りはなく、前後の文脈や業界的な慣習等を考えて加えた修正や、依頼者の文法ミスや編集ミスの修正がほとんどでした。
依頼者によれば、「自力で英語を書くことを考えたら10分の1くらいの労力で済んだ」、とのこと。「外部に出す文書の場合は、専門家(今回は私)に英語として正しいかを見てもらうことは必要だけれど、今後もどんどん活用していきたい。」、とも言っていました。

翻訳者ではなく技術者であるこの人が、今後どうやってChatGPTを使っていくのかということにとても興味があったので、この『ChatGPT翻訳術』の本を紹介してみました。
この本のことは知らなかったそうで、さっそく読み始めたようです。
読書後の感想や反応、今後の動きにも注目していきたいと思います。


ところで、私は機械翻訳やChatGPTなどにはとても興味がありますが、それは技術の進化を把握したいとか、何か参考になる情報を得たいという気持ちからであって、翻訳そのものを機械翻訳やChatGPTにやらせようと思っているからではありません。

英訳の翻訳者である以上、日本語を英語にするという翻訳のプロセスを自分以外のモノに頼りたくはないし、もし頼ってしまうのであれば、それはもう「翻訳者」というよりは、「チェッカー」とか「(ポスト)エディター」なのかなあ、という気も。

私はチェックの仕事も大好きだし、もともと編集側にいたので、チェッカーはもちろん、ポストエディターのお仕事にも条件次第ではそれほど抵抗があるわけではのですが、翻訳者として仕事をするのであれば、自力で翻訳する道を模索したいかな、今はまだ。

ChatGPTは使い方次第では確かにすごいのかもしれませんが、ChatGPTをうまく使えば「だれでも簡単に英訳ができる」ものだと安易に考えられるようになってほしくないですよね。それにより、質の低い翻訳を量産するような「翻訳者」が増えてしまったり、人力の翻訳よりもコストが抑えられるものと勘違いしてコストダウンに走るクライアントが出てきてしまったりするのは困ります。翻訳に対して正当な評価がされなくなったり、適正な対価が支払われなくなったりするような流れがさらに加速していきそうなことに、不安を感じます。

それじゃChatGPTなどのツールを味方にして翻訳効率を上げるなど、自分もその道を進めばいいじゃないかと思われるかもしれないし、それはそれでそういう道もありだとは思いますが、翻訳者として仕事をする以上は、一番楽しい翻訳プロセスを他へ譲る気は、今のところはなく・・・。

「敵(?!)の手の内を知る」的な感じで情報収集をしていきたいと思っています。